「4(塾とカフェバー)」

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(店へのハガキです。差出人からの掲載許可をもらっての掲載です)

 

 

 

「塾とカフェバー」

 

今日は725日。

3日連続で短文を書いてきましたが、今日も書いてみます。4日目です(ブログみたいですね)。

タイトルは、「塾とカフェバー」。

長くなると読みにくいだろうから、これも45枚でまとめてみます。

 

   *

 

僕は18歳の時から家庭教師、25歳から個人塾と、ずっと一人で「人に教える」という仕事をやってきて、その仕事で自分の人生が形作られ、それ以外の人生についてはよく知りませんでした。

それが、2015年春から始めたカフェバー経営で大きく変わりました。

 

一つ、例を挙げてみたいと思います。

20代、30代の頃、友人・知人達から「今回主任になった」とか「課長になった」とか言われても、文献的な知識の上では重々知っているそれらの役職に就くことの「名誉」とか、「(彼らにとっての)嬉しさ」等は、実感を伴って理解できるものではありませんでした。

だって、僕からすれば、課長より部長の方が偉いだろうし、部長の上には取締役や社長(公僕なら市長や知事)がいると考える。組織人として上を目指すなら、そこまで達成して(選挙にも出て)、それから喜べば? とごく素直な気持ちとして思っていたからです。

でも、カフェバーを始めて、様々な人と話をするようになり、組織人の出世に対する思いが、本人の幸せ・不幸せを決定するくらい大変なものだということがよく分かるようになりました。

 

 カフェバーの経営という仕事は、この社会を生きる人達の、社会や人生に対する本当の思いをよく知ることのできる仕事です。

 店を開いた年に『深夜食堂』という映画が公開になり、僕も個人飲食店を開いたばかりだったので、映画館で2回観て、その後DVDも買いました。

『深夜食堂』はドラマ仕立てのフィクションですが、でも実際に自分で個人飲食店を経営してみると、お客さん達が色々な話を聞かせてくれて、あのような人間模様を垣間見ることができます。

自分がまだ20代の頃から、1日に1時間でも、塾が終わった後にカフェバーで、20歳位の塾生やその御両親とは違う世代の、そして違うタイプの人達と交流できていれば、それはまた随分良い経験になり、視野も今以上に広がったのではないかと思っています。

今度、もう一度人生を生きるとしたら、再度18歳大学入学時と同時に家庭教師を始め、その後20歳の誕生日に、塾とカフェバーを同時に開きたいという思いが強い。この二つを並行作業でやってみたい。

 カフェバーは11時間でいい。あくまで塾がメイン。塾で20歳位の子達と、その御両親達と接し、カフェバーでそれ以外の世代の人達と広く交流する。

 僕は人と話すのが好きで、その人の表情、言葉遣い、語彙、話題等から、その人のこれまでの人生を知り、これからの人生を推測します。

 人のコミュニケーション能力は、その人の年齢・学歴・財産等に全く比例しません。場の雰囲気を掴み、相手の気持ちを思いやり、その場の雰囲気をさらに良いものにしていくという能力は、正に「人間力」というものです。

 それは意識的に磨かれるもので、その能力の有無は、分かる人には分かりますが、分からない人には全く認識されないでしょう。出会った人々の、その能力の磨かれ具合を観察するのは、先の映画を観る以上に、楽しい作業です。

 

   *

 

個人塾という仕事は、塾生とその御両親以外の人間と接する必要がない、かなり平和な仕事です。

ただ、その分、その居心地の良さに安住していると、他の仕事に就く人達の仕事に対する考えや彼らの人生観を知ることなく人生を終えてしまう。それではもったいない。

 世界と人とに接し、そこから学ぶ場所として、今の小さなカフェバーを大切に持ち続けます。

 店に立つのは信用できる若い人に任せますが、時々店に顔を出すオーナー兼お客として、楽しい時間を過ごしていきます。

 

 2019725日午後5